神秘が神話を産む?


上の娘がまだ、赤ちゃんだったとき、電車に乗っていると
年配のおばさんが「や~かわいいね~」と話しかけてきた。

その後、真顔(に見えた。わたしには。)で、
「母乳?」と聞いてくる。
この質問に何回か遭遇した。

わたしはできれば母乳オンリー(粉ミルクは使わずに)
で育てたいなと思っていたけど、
残念ながら、「どひゅ~」とは出なくて
粉ミルクと併用していた。

だからこの質問に毎回グサッときて落ち込んでいた。

そもそもわたしが母乳で育てたいと思ったのは次の3つが理由。

1.
粉ミルクは哺乳びん消毒をし、
ミルクの量を測って
哺乳びんの線までお湯をピタッと入れ
(ポットのお湯の勢いが良すぎて、ピタッとならずよく失敗)
そのあと、人肌の温度に冷ます(待てずに熱めであげてしまう)
とやることがやたら多く面倒。
(もう泣きまくって赤ちゃんが待ってんねん~夜中にやってられん!)

2.
粉ミルクは割高(エンゲル係数あがるわ・・・)

3.
母乳で育った子は「からだが丈夫」とか、
「気持ちが安定する」という説を聞いていたから

で、多分わたしが落ち込んだのは3番が理由。
この3番を母乳神話と言うらしい。

わたしにも母乳神話のすり込みがあったんやな。
100%母乳にできない自分にどこか後ろめたさがあって
母親としてどこか不足しているような気になっていたものだ。

1と2では落ち込まないですよね。
完全母乳への憧れみたいなものがあり、

ミルクだけじゃないで。母乳もちゃんとあげてんねんで!
という気持ちを含ませて
「母乳とミルクの混合です」とか、
真面目に返答していた。

母乳神話に振り回されながら、母乳が出るようマッサージをし、
搾乳器(おっぱいを絞り出す装置です)も買った。
でもほとんど効果なし。

育児に結果を求めたらアカン。
辛くなるだけやな~。と実感する日々だった。

それにしても、母乳育児かどうかを問うこの質問の意味は
いったい何なんだろうとその時から思っていた。

それを聞いてどうするのかな。しかも突然見ず知らず相手に聞く。
「母乳」と答えたら、立派なお母さんですねということなのか。
「ミルク」と答えたら、お母さんとしては・・・レベル低いのかな?

この質問て、昔よくあった「彼氏いるの?」
に似ているな。
ほんまそれ聞いてどうするの?っていう話。

その女のひとが好きなら、まぁ、いいよ。
彼氏おったら諦める。おっても奪う(?)の指針になるから。
でも、別になーんも思ってない相手に聞くのはどうなんやろ。

それに聞いてくる人に既婚のおっさんが多かったから
今やったら、かんぜんセクハラやな~

わたしを、くらい気持ちにさせた母乳神話事件。
(と今、名付けた)

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考えてみると、出産、育児には神話はつきものですね。
母乳神話以外にも

性神話(女性には母性本能がそなわっていて、
     母親が育児をするのが当然という考え)
痛み神話(おなかを痛めて産んだ子だから愛情が持てる)
3歳児神話(3歳までは母親の手元で育てなければいけない)
なんかがある。

人って分からないことが多いと神話にしてしまうのかもしれない。

妊娠や出産、育児にまつわる、
こころの揺れ、happyだったこと、疑問、不満
なんかがお母さんの視点から書かれていて
時にゲラゲラ笑い、時にその辛さを思い出してしんみりしながら読んだ本。

「きみは赤ちゃん」 著 川上未映子
文藝春秋から出版されています。

出生前診断
妊婦のからだの変化。
無痛分娩。
産後クライシス(うつ)。

小説家の観察眼はやっぱりするどい。
いろんな意味で考えさせられた。

わたし自身は育てるのに、まいにちまいにちとにかく必死で、
育児日記なんかメモのレベルしかつけられなくて、
これだけの記録を残した川上未映子さんを尊敬します。

あべちゃん(たまに登場する旦那さん。
小説家の阿部和重さん。ご夫婦で芥川賞作家。)
とのとぼけた会話もおもしろい。
この本に出てくるご夫婦のやりとり大好きです~

エアロビ先生(川上さんが出産された産院の院長)
もアク強いけど、笑わせてくれました。

出産が終わった人もこれからの人も、
旦那さんも子どもと関わる全ての人が読んだらいいと思う。

文章のリズムがよくて(川上未映子さんが以前、
音楽活動をしていたことと関係あるのかな?)
だだだーーーーーっと読めてしまった。

もうひとつ。
出産にまつわる神話をここにきて思い出しました。

立ち会い出産をしたら奥さんが女性と思えなくなるとか、
離婚率が高い、とかいうアレです。

「まさか!」と思いながらも
実はわたしが立ち合い出産にしなかった理由のひとつでした。
めっちゃ振り回されとるがな~

出産、育児を経験して思うのは、考え過ぎはだめ!
そして、いいかげんさも必要。ってことですね。

どうか、お母さんたちが『あかるい気持ち』
で子育てできる時間が少しでも多くなりますように。

今日の話は長~くなってしまったので、
絵本しょうかいは次の回にします。

おたのしみに~

きみは赤ちゃん [ 川上 未映子 ]

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