稲の白い花


まだまだ残暑がきびしいけれど
歩いて数分の近所の田んぼまで行けば
稲穂には少し早いけれど
稲の緑色した楕円形のが風に揺れていた。
秋の訪れを感じた。

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子供のころは田んぼだらけだった、わたしが住む地域も
最近は開発されて、住宅・工場がどんどん増えている。

レンゲソウを摘んだり、カエルをとったりして
わたしたち子どもにとっては、恰好の遊び場だった。
(今やったら、田んぼに入ったら注意されるかもな~?)

「田んぼの横は涼しかったな・・」
家のとなりが田んぼから工場になったという近所の人が
そう話していた。

水があるところは、やはり涼しい。
建物が建つと、どうしてもエアコンの室外機や
コンクリートの照返しなんかで
その辺りの温度は上がっていく。

秋風が吹いたら、稲穂は波が泡立つように
さわさわさわと揺らされていく。
カエルの鳴く声。稲の白い花の匂い。

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あたりまえだった光景が、あたりまえじゃなくなっている。
だからこそ、大切にしたい。(って自分の田んぼじゃないけど)

6月には娘と田んぼで、オタマジャクシやアメンボを探したり
田植えも見させてもらった。

田植えは、個人でするのは大変だから
田んぼを持っている近所どうしが協力しながら
しているようだ。

今日は〇〇さんの田植え。明日は〇〇さんの田植え。
といったふうに。

いまは、ほのぼのとした光景の田植えも
古くは、田んぼの水をめぐって「水争い」という
水の取り合いのようなものがあったと聞く。
このあたりに住むのが声が大きいのは、そのケンカの名残
とも言われるが、真相は分からない。

日本語に「水に流す」「水くさい」「水をさす」「水いらず」など
水に関する言い回しが多いのは、水が日本人の生活にとって身近で、尊い
ものであったことの表れだろう。
外国語に訳せない言葉もたくさんあるらしい。

「水の尊さ」「田んぼの涼やかさ」
そういうことを想って
田んぼの横を保育園に行く娘をのせた自転車で走る。

この光景はあたりまえのまま
残ってほしいなと願いながら。



きょうのえほん
 「かかしのじいさん」
   深山さくら 作
   黒井健 絵 

かかしのじいさん [ 深山さくら ]

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感想(1件)

「稲の白い花の匂い」とさっきは書いたけど
稲に白い花が咲くというのを、実をいうと
この絵本を読むまで知らなかった。

実がなるんだから、花は当然咲くんだけど、
そんなもの見たことあったかな~?
と思った。

それで、ちょうど、今頃行けば見れるだろうと
ちかくの田んぼに観察に行った。

ありました。ありました。
でも、頭皮のフケ?かと思うような
こまか~い白い花で、イメージしていたものとは違った。

でも、もうちょっと調べてみたら、米は午前中に花が咲いて、
2時間ほどでしぼんでしまうとのこと。
花の命は短かった!
わたしは夕方に見に行ったから、咲き終わったのを見てたんやな~
だからフケに見えたんや~

絵本に書いてあった「匂い」はどうや?
と思ったけど、自分の田んぼじゃないから
ちぎって匂いを嗅いだりはできない。

でも、あたり一面に甘くて懐かしい香りが・・。
これのことかな?ととりあえず、半分納得して
家路についた。

「かかしのじいさん」は図書館でたまたま手に取った。
5歳の娘が「黒井健」さんの絵本「ハナミズキの道」
が前から大好きでよく読んでいた。

それで、この絵本は黒井健さんだけど
いつもとちょっと雰囲気が違うので
かえって気になって、借りて帰ってきた。

読んでみると、今の季節にぴったりだし
稲に白い花がさくことや
かかしじいさんの
麦わら帽子に雀がしたフンから
花まで咲くこともあるんだって知れた。

おまけにすずめとじいさんのやりとりが
可愛らしくて、読み終わったら、
ほんわりした気持ちになれたな。

白い花を写真で撮った。
夕方の写真やからフケ感がすごいかもしれない。
興味のある方は、写真を穴が開くほど
見てみてください。
きっと、白い花がみつかるはず。

今、すごい雷鳴が!カミナリはやく止んで~
では、次をお楽しみに!
せやけど、まじで怖いな・・カミナリ。




豊かな社会になると人の心が変わる?


お盆の間、テレビをつければ、あおり運転の報道ばかりで
うんざりした。
ああいう危険な運転をする容疑者に、当然怒りは感じた。

でも、同時にテレビを見ているこちら側と容疑者側を
単純に全く別物だと考えるような報道の仕方に違和感を覚えた。

「社会が豊かになると、人の心が貧しくなる」

佐々木正美という児童精神科医の先生の話が好きで、
その人の書かれている本をよく読む。

この話は、「子どもへのまなざし」という本に出てきた。
文明の発達と物の豊かさの代償として、
わたしたちは自然環境を破壊してきた。
緑が少なくなって、空気は汚れ、最近では海洋汚染の問題もある。

文明は、確実に自然環境を破壊しながら進歩してきた。
そして、破壊しているのは自然だけではない。
人の心も破壊してきたという。

驚くべきことだが、この本を読むと、「ああ、書かれてある通りだな」
と思うことだらけだ。

便利な生活をするようになると、わたしたちは欲望をがまんする習慣が
なくなる。
全自動洗濯機。この本が書かれたとき(1998年頃)は、全自動と言っても
脱水までだった。
佐々木先生は、たとえ話として、脱水のつぎは「この洗濯物を乾かしてくれると、もっと便利なのに」と人の気持ちはなっていくと言われている。
まさに現実となり、今では、乾燥機能つきの洗濯機も発売されている。

洗濯機に限らず、自動車でもビールでも、いろんなものが、
すぐに新しい製品となってでてくる。

人は欲望を抑える必要がなくなり、抑えることがどんどん下手になる。
そして、モノへの欲望ががまんできなくなるだけでなく、
人との関係でもがまんすることができなくなる。

あおり運転の報道を見ていて、この本に書かれている内容を思い出した。
ひとごとのように思っているけれど、現代人であるわたしも
昔の人より、ずっとがまんすることが苦手になっているに違いない。

だからといって、現代人全てがあおり運転をするようなるとは思わないが、
イライラが蔓延する社会になってきており、それでも人は便利さを追求し続けている。
便利の裏にはそういう危険が伴っていることを忘れてはいけない。

佐々木先生は、豊かな社会を批判しているわけではないと思う。
そういう便利さのマイナスの面を知っているのと、知らずにいるのとでは
人の気持ちの持ちようが違う。
きっと、そんなつもりで書かれたのだと思う。

はじめて、佐々木先生の本を読んだとき、書かれている内容をよみ、
いろんな家族やお子さんの悩みに寄り添ってきたんだなというのを実感した。
ひとつひとつの悩みに心を込めて答えられていて、素敵な先生だなと思い、
気づけば、いろいろ調べていた。

「ささき まさよし」かと思ったけど、「ささき まさみ」なんだな。
わたしのおじいちゃん世代くらいだけど、ちょっと可愛い名前だな・・とか。

顔写真を見ては、優しそう。こんな先生にならどんな子育ての悩みでもできそう・・とか。

だけど、わたしが先生の存在を知ったときには、
1年半くらい前に亡くなられていて、お会いしたことはないけれど、
すごくショックだった。
こんな素敵な方が、自分が知る前に亡くなられていたんだなと。

でも、先生が本に書かれた内容は普遍的なことだと思い、
活動中の絵本ボランティアでも、常に意識している。
微力だけれど、先生の素敵な「子どもへのまなざし」を
わたしも子どもたちに対して持ち続けたい。

子どもへのまなざし [ 佐々木正美 ]

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感想(156件)

【6月の読みきかせはこうだった】

 

6月はお寺と小学校でえほんの読み聞かせをした。

お寺では、またもや本堂にてスイッチで盛り上がるこどもたち。
毎月、地道に読むぞ~と思ってはいたが、
この雰囲気で、これから絵本読みますよとは言いづらい。

雨が降ったりやんだりする天気の日で、その日の土曜がっこうは
いつもより早く終わりそうだった。

あんなに強く決心したはずだったのに
今月は「ま、いっか」と思い始め、持ってきた何冊かの絵本を
パラパラとめくっていたその時、

例の少年(前回のブログ既出)
が「読んでくれるん?」
と寄ってきた。

「・・・・」
うれしさと、驚きでわたしの頭の中に
少しの間、空白ができた。

我に返って、「どれにする?」
と聞くと、「ぜんぶ」という。

雨がまた強く降り出しそうなので、
全部は読めないからと、表紙を見せて
読んでほしいのを選ぶように言った。

『うえきばちです』

べべべんべんとう』

『さるのおいしゃさんとへびのかんごふさん』

の三冊をよんで、終わりにした。

きょうも観客は小学2年生の2人だったけど
(そのうち一人は途中でゲームの順がまわってきてそっちに行った)
楽しく読めた。


 小学校の読み聞かせは
校庭開放(小学校が月に1回程度、生徒のために校庭を遊びに使わせてくれる)
のときにさせてもらった。

3カ月くらい前から準備していて、こどもたちに楽しんで
もらえる内容になっていたと思う。

子どもが受け身にならないように、参加型にするなど、趣向を凝らした。

ただ、読み聞かせの部屋は、子どもたちが自由に出入りしていいことになっていて
校庭で遊んでいた子どもたちが涼みにやってきたり、
別のゲームを楽しんでいたりと
なんだか、ざわざわしていて落ち着かない。

そんな中でも、1,2年生の男の子と女の子3人がすごく集中して最後まで
聞いてくれたのは私にとって、嬉しいことだった。

終了後、校庭開放を主催してくれているPTAのひとたちが、
騒がしくてすみませんでした
と謝ってくれた。

わたしは、お寺でも読み聞かせをしているけど、
お寺の場合は、ゲームをしてもいいから
(校庭開放はゲーム持ち込み禁止)
ほとんど聞いてくれる子がいなくて、
今日、わたしはほんとに満足しているんですよ
と伝えた。

PTAの人は、せっかくいい内容なのに子どもたち
にもっと聞いてもらいたい(なんて、うれしいことを!)
と言ってくれて、

次回からは、読み聞かせの1時間は他の遊び
(お絵かき、工作、ボードゲームなど)を
禁止にしようかと提案してくれました。

すごく、あり難いことやけど、読みきかせの活動で、
私は絵本を強制的に聞かせることはしたくないと
思っているので、その提案にどう応えるかはすごく、迷った。

それで、別室を用意してもらって、聞きたい子だけ来るっていうのを
提案したけど、PTAの人が校庭やら、図工室やら、図書室やらと
いろいろ見て回るのは大変という話だったので
結局、最初に提案してもらったように
「絵本の時間を設ける」となった。

校庭開放が終わった後、PTAの人たちと
こどもたちの読書環境について少し話をした。
子どもが家で本を読んでいるのをほとんど見ない
と多くの人が言われていた。

生活環境が変わってきて、大人も子供も活字に触れることが
少なくなっている。
新聞を取らない家庭が増えているし、
ニュースもネットの記事でサラッとチェックという話も聞く。

子どもは習い事で忙しく、遊びの選択肢も年々増えてきて
じっくり本を読む時間をとっている子どもは減っているだろう。

思考力、共感力という生きていく上で重要なものは、
人間関係の中で育ち、磨かれるものだと思うが、
その関係にとって必要な知恵を与えてくれるものの中の1つが
読書というものだ。

「本をほとんど読まない人生」というのもあっていいとは思う。
本を読まない人を否定することはしたくない。

だけど、「本っていいな」「なんかおもしろい」
「読んでる間はイヤなこと忘れて没頭できる」
そう思ってくれる人が今より、少しでも増えればいいな~
そんな思いをもって読み聞かせ活動をしている。

読書の良さを語っているが、押し付けないという点で、
共感できた本が『子どもを本好きにする10の秘訣』だ。   」

大人(子ども向けだけど)も子供も楽しめる本がたくさん載っている。
ジャンル分け、年齢別にしてくれていて、
本を選ぶ目安にもなりやすい。
手に取ってみてください。

子どもを本好きにする10の秘訣 [ 高濱 正伸 ]

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お寺でえほん、はじめました。


たたかい?ゲーム?
「もし、いま聞いてくれてる子、以外も聞きに来てくれたら勝ち。」
そんな感じで面白がりながら、毎月、絵本の読み聞かせに挑戦している。

別に「来てくれなかったら負け」ってわけでもないけど、
その方が、モチベーションも上がるしなと思って。

場所は近所のお寺の土曜学校。
月に一度、開かれている。

小学1年生〜6年生くらいのこどもが
お寺の本堂で、みんなでお経を唱えたり、お菓子を食べたり。
近くの公園で遊んだり。

今は、異年齢のこどもどうしが遊ぶ機会がほとんどないので
貴重な場だと思っている。

仏教学科の学生さんも来られていて、
年の離れたお兄さん、お姉さんと言った感じで
子どもたちは、からだを使ったダイナミックな遊びをしてもらい満足そう。

そんな素敵なとこなんだけど、
本堂に置いてあるテレビでゲーム(スイッチ)をする時間が
すごく長いことが、以前から気になっていた。

十数人の子どもがひとつのテレビの前に殺到して順番待ちをしている。
子どもは「自分の番がまわってこない」とイライラ。

ゲームが魅力的なのは分かるけど、
別にここでそれをしなくてもいいのにな~って。

それで、おせっかいかな~と思いつつ、
お寺の娘さん(わたしの同級生)にお願いして
絵本の読み聞かせをさせてもらうことに。

2月のある日、やる気満々で土曜学校に向かった私
(聞いてくれるんかな~?っていう思いはとうぜんあったけど)

お菓子休憩のあと、娘さんが
「読み聞かせしてくれるから、ちょっとこっちに集まって~」
と言ってくれた。

子どもたち
「え~、いらんわー」
「もう前に学校でしてもらったことあるからいい」

子どもってやっぱり残酷・・・。

一年生の男の子がひとりだけ、こっちを向いて、
「読んでほしいな~」と言った。
「やった!」と思った瞬間、すぐにゲームが始まって、みんなと一緒にレッツゴー。

無理に読むのはわたしの主義ではないので、その日は子どもに読むのは諦めた。
聞いてくれることになった娘さん(たぶん、わたしに気を使って)に読むことにした。

そしたら、1年生の男の子がふたり、途中から聞きに来てくれたではありませんか!
うれしい・・・。

読み手と聞き手のあいだを鬼ごっこしながら、
容赦なくドタバタ横切る小学生たちに
妨害されながら(ここ、お寺の本堂やで!)
何とか初回の読み聞かせをやりきることができた。

そして、今月が4回目の読み聞かせだった。
前回、絵本を2,3冊持って行ったら
子どもに「これ、知ってる」と言われたから
今月は10冊くらい持って行って、読んでほしいのを選ばせるっていう形にした。

そしたら、持って行った本、全部読んでと言われて・・・。
うれしい悲鳴。は出ないけど、私の顔は「ニヤリ」となっていたと思う。

聞いてくれるのは、小学生の男の子2人だけど、
今月は大きな変化があった。

お寺の中を走り回りながら、絵本を読んでいる部屋
(子どもがドタバタするので前回から別室で読ませてもらっている)に
他の子たちもたまに来て、チラッチラッと絵本をみていく。
ホントに短い時間なんだけど。

でも、「子供も何してるか気になってきたようやな~」
わたしは心の中でガッツポーズをした!

これから、どうなっていくのか私にもわからない。
でも、読み聞かせを楽しみつつ、子どもたちがどう変わっていくのかを見届けていきたい。

 

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しまった!金栗四三と同じ配色になってしまった・・・

 

 「くろずみ小太郎旅日記 怪僧わっくさ坊暴れる!の巻 その6」
作者は飯野和好さん。
お寺の読み聞かせではこどもが表紙をみただけで、大笑い。

内容は忍術修行中のくろずみ小太郎が行く先々で、
いろんな悪とたたかう話。

文章の独特のリズム感が良くて、
ノリノリで読めます。
声に出して読みたい絵本です。

ちなみに「わっくさ坊」とは「かめむし」のことです。
あの、くさ~い臭いを発するあの虫です。

飯野さんの育ったところでは、かめむしを「わっくさ」と
呼んでいたらしいです。

終わり。 

くろずみ小太郎旅日記(その6) 怪僧わっくさ坊暴れる!の巻 入れかえはよいもの [ 飯野和好 ]

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【おなかの中のひみつ】

 
「おへそのあな」
という絵本を知っていますか?

じっさいは、おへそに穴はあいていないけど
その穴をとおして、赤ちゃんの誕生を待ちわびる
家族の姿が赤ちゃんの視点で描かれています。

赤ちゃんのために栄養のバランスを考えて食べるおかあさん。
赤ちゃんの名前を真剣に考えるおじいちゃん。
おなかの赤ちゃんに聞かせようとウクレレをひくおとうさん。
生まれてきた赤ちゃんと一緒に遊ぶため、おもちゃを作るお兄ちゃん。

わたしもおなかの中にいて、おかあさんのおへそのあなから
外の世界が見えているように感じました。

なぜ、こういう感覚になるのかと思ったら
おへそから見える景色がすべて、逆さまに
描かれているからだ!と気づきました。

温かい気もちになりましたが
とっても不思議な感覚でした。

おかあさん、おとうさん。
お子さんに「この絵はなんで逆になっているの?」
と聞かれたら、ここは出番です!

「これはね・・・赤ちゃんはおなかの中ではね・・・」
と、得意満面で答えてください。



へそから見える景色を描いた絵本は
今まで見たことがありません。

おへそのあな [ 長谷川義史 ]

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 この絵本が、はじめての体験です。

赤ちゃんはおなかにいながら、
いろんなことを感じています。

少しずつ少しずつ五感ができあがっていきます。
その五感に訴える教育が胎教なんですね。
五感のうち、聴力が一番初めにできるそうです。

わたし自身は、「これぞ胎教!」みたいな
モーツァルトを聞く」とか
「赤ちゃんにひんぱんに語りかける」とか
をしていたわけではないのですが、
あとから考えると、胎教になっていたのかな
ということがひとつあります。

長女が3才のとき、わたしは下の子を妊娠中でした。
その時に、長女に「おっぱいのひみつ」という絵本を
「何回読ませるねん!」ってくらい読まされました。

そして、赤ちゃんが無事誕生し、まいにち忙しく過ごしていました。
ある時、久しぶりに長女が「おっぱいのひみつ」を読んでほしいと
いうので、読むと、
そばで、グズっていた赤ちゃんの機嫌がきゅうに良くなりました。

もしかして・・・この子は、おなかの中で
一緒に聞いていたのかもしれないな
とその時感じました。

絵本を読んでいる最中に
おなかの赤ちゃんに「聞こえますか~?」
と聞いて返事があるわけではなく、
前回の記事で書いた「神話」の領域のことかもしれません。

でも、絵本をよんだり、話しかけたりすれば赤ちゃんに
聞こえていると思うのは「神話」のままにしておいたらいい
と思います。

音楽が得意な子にする!とモーツァルトを聞かせたり、
英語を話せるようにと英会話を聞かせたり。
そういう英才教育的な胎教は、がんばらなくていいですよ。

赤ちゃんの時くらい、ゆっ~くり泳がせてあげてください。

話しかける。絵本を読む。
たとえ、胎教にならなくてもそういう家族のあったかい雰囲気が
赤ちゃんを迎え入れる準備になるし、
誕生を待つ家族は、いっそうしあわせな気もちになりますよね。

「おっぱいのひみつ」の作者、柳生弦一郎さんは
こどもが「不思議やな~」と思うことをわかりやすく、
解説する(説明が上手なので解説されている気にならず読める)
絵本をたくさん書いている方です。

 (「おへそのあな」の作者、長谷川義史さんについては、また今度くわしく!)

大人であっても「ふむふむ」とか「そうだったのか。」
と楽しくよめます。

わたしもこんな年齢になっても、ホンマ知らないことだらけやな~
と思ってよんでいます。

手書き文字の文章は、絵の一部になっています。
あったか~くて、ゆる~い世界。

ここでは、柳生弦一郎さんの本を3冊紹介します。
下に載せておきます。

でも、からだのふしぎについての絵本はいろいろあるので、
興味のある方は、他のものも探してみてください。

お気に入りが、見つかるかもしれませんよ。 

 

おっぱいのひみつ (かがくのとも傑作集 わくわくにんげん) [ 柳生弦一郎 ]

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かさぶたくん (かがくのとも傑作集 わくわくにんげん) [ 柳生弦一郎 ]

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はなのあなのはなし (かがくのとも絵本) [ 柳生弦一郎 ]

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感想(22件)

神秘が神話を産む?


上の娘がまだ、赤ちゃんだったとき、電車に乗っていると
年配のおばさんが「や~かわいいね~」と話しかけてきた。

その後、真顔(に見えた。わたしには。)で、
「母乳?」と聞いてくる。
この質問に何回か遭遇した。

わたしはできれば母乳オンリー(粉ミルクは使わずに)
で育てたいなと思っていたけど、
残念ながら、「どひゅ~」とは出なくて
粉ミルクと併用していた。

だからこの質問に毎回グサッときて落ち込んでいた。

そもそもわたしが母乳で育てたいと思ったのは次の3つが理由。

1.
粉ミルクは哺乳びん消毒をし、
ミルクの量を測って
哺乳びんの線までお湯をピタッと入れ
(ポットのお湯の勢いが良すぎて、ピタッとならずよく失敗)
そのあと、人肌の温度に冷ます(待てずに熱めであげてしまう)
とやることがやたら多く面倒。
(もう泣きまくって赤ちゃんが待ってんねん~夜中にやってられん!)

2.
粉ミルクは割高(エンゲル係数あがるわ・・・)

3.
母乳で育った子は「からだが丈夫」とか、
「気持ちが安定する」という説を聞いていたから

で、多分わたしが落ち込んだのは3番が理由。
この3番を母乳神話と言うらしい。

わたしにも母乳神話のすり込みがあったんやな。
100%母乳にできない自分にどこか後ろめたさがあって
母親としてどこか不足しているような気になっていたものだ。

1と2では落ち込まないですよね。
完全母乳への憧れみたいなものがあり、

ミルクだけじゃないで。母乳もちゃんとあげてんねんで!
という気持ちを含ませて
「母乳とミルクの混合です」とか、
真面目に返答していた。

母乳神話に振り回されながら、母乳が出るようマッサージをし、
搾乳器(おっぱいを絞り出す装置です)も買った。
でもほとんど効果なし。

育児に結果を求めたらアカン。
辛くなるだけやな~。と実感する日々だった。

それにしても、母乳育児かどうかを問うこの質問の意味は
いったい何なんだろうとその時から思っていた。

それを聞いてどうするのかな。しかも突然見ず知らず相手に聞く。
「母乳」と答えたら、立派なお母さんですねということなのか。
「ミルク」と答えたら、お母さんとしては・・・レベル低いのかな?

この質問て、昔よくあった「彼氏いるの?」
に似ているな。
ほんまそれ聞いてどうするの?っていう話。

その女のひとが好きなら、まぁ、いいよ。
彼氏おったら諦める。おっても奪う(?)の指針になるから。
でも、別になーんも思ってない相手に聞くのはどうなんやろ。

それに聞いてくる人に既婚のおっさんが多かったから
今やったら、かんぜんセクハラやな~

わたしを、くらい気持ちにさせた母乳神話事件。
(と今、名付けた)

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考えてみると、出産、育児には神話はつきものですね。
母乳神話以外にも

性神話(女性には母性本能がそなわっていて、
     母親が育児をするのが当然という考え)
痛み神話(おなかを痛めて産んだ子だから愛情が持てる)
3歳児神話(3歳までは母親の手元で育てなければいけない)
なんかがある。

人って分からないことが多いと神話にしてしまうのかもしれない。

妊娠や出産、育児にまつわる、
こころの揺れ、happyだったこと、疑問、不満
なんかがお母さんの視点から書かれていて
時にゲラゲラ笑い、時にその辛さを思い出してしんみりしながら読んだ本。

「きみは赤ちゃん」 著 川上未映子
文藝春秋から出版されています。

出生前診断
妊婦のからだの変化。
無痛分娩。
産後クライシス(うつ)。

小説家の観察眼はやっぱりするどい。
いろんな意味で考えさせられた。

わたし自身は育てるのに、まいにちまいにちとにかく必死で、
育児日記なんかメモのレベルしかつけられなくて、
これだけの記録を残した川上未映子さんを尊敬します。

あべちゃん(たまに登場する旦那さん。
小説家の阿部和重さん。ご夫婦で芥川賞作家。)
とのとぼけた会話もおもしろい。
この本に出てくるご夫婦のやりとり大好きです~

エアロビ先生(川上さんが出産された産院の院長)
もアク強いけど、笑わせてくれました。

出産が終わった人もこれからの人も、
旦那さんも子どもと関わる全ての人が読んだらいいと思う。

文章のリズムがよくて(川上未映子さんが以前、
音楽活動をしていたことと関係あるのかな?)
だだだーーーーーっと読めてしまった。

もうひとつ。
出産にまつわる神話をここにきて思い出しました。

立ち会い出産をしたら奥さんが女性と思えなくなるとか、
離婚率が高い、とかいうアレです。

「まさか!」と思いながらも
実はわたしが立ち合い出産にしなかった理由のひとつでした。
めっちゃ振り回されとるがな~

出産、育児を経験して思うのは、考え過ぎはだめ!
そして、いいかげんさも必要。ってことですね。

どうか、お母さんたちが『あかるい気持ち』
で子育てできる時間が少しでも多くなりますように。

今日の話は長~くなってしまったので、
絵本しょうかいは次の回にします。

おたのしみに~

きみは赤ちゃん [ 川上 未映子 ]

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(2019/4/3 18:42時点)
感想(12件)

こどもの心をそだてるもの


めっきり春めいてきたこの頃です。
けれども、冷たい風が吹いて、
寒さが戻ってきた今日は
雪のなかでの美しいおはなしを。

「つるにょうぼう」という絵本が、
4歳の娘のお気に入りです。

お話の内容は「つるの恩返し」と同じです。
この冬、何度か自分から「これ読んで」と持ってきました。

こんな難しい話、理解できるのかな?
と不思議に思いながらも
私も好きな絵本だし、娘が喜ぶから読んでいた。

「この子は、なかなか感性が鋭いかもしれないな」とか
「4歳にして、読解力があるのかもしれない」などと、
親バカぶりを内心、発揮しつつ読んでおりました。

読んでいると、とつぜん娘がわたしに
「これ(鶴が織った反物)3個もできてんな!」
と嬉しそうに感想を伝えてきました。

(そこが気に入ってたんか~)
鶴が自らの羽をむしってはたを織っている
ところの意味は理解していなくて、
反物がどんどんできていくことに喜びを感じていたみたい。

一瞬、拍子抜けしたけど、
そういう時、わたしは説明を加えることをしない。
もちろん、質問をしてきたら答えはするけれど。

「今、わかった!」っていう瞬間、
すごくうれしいじゃないですか。
こどもも、いずれは自ずから理解するときが来る。
その時を待ってたらいいんじゃないかと思って。

大人にもありますよね。
そういう瞬間。

例えば、大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」で
森山未來演じる落語家がおっさんになった姿を、ビートたけしが演じてる!
って分かった瞬間とか。

あれ、最初から分かりました?
わたし、放送3回目にして、やっと気がつきました。

(見てない方、すいません。何のことか全く分からないですよね~
いだてん。いろいろ言われてますが、
好きで毎週欠かさず見てるんです。

ビートたけしの噺はやっぱり聞きづらいなと
実は気になってますが。
まぁ、他は面白いので、字幕オンにして耐えてます)

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「つるにょうぼう」に戻ります。
このおはなし、和歌や俳句のように心地よいリズムがあって、
すらすらと自然に読めてしまいます。

声に出して読むと、いっそう言葉の美しさが際立つ。
物語自体は哀しいものだけど、読み進めるごとに、
心の中の澱(オリ)のようなものが
からだからスッ~と抜けていく感じ。

誰でもそういう絵本に出合うことがあります。
ただ、そう感じる絵本がひとりひとり違うんですよね。
(長くなるので、その話はまた今度。)

今は使われていないような古い言葉でも、
その世界を表現するのにかえってふさわしく思われる。
だから物語をより身近に感じられる。

その夜おそく、よ平の家の戸を、ほとほとと たたくものがあります。
この「ほとほと」という音。
現代なら「とんとん」と置き換えられますが、
胸にスッとなじみます。

「女房にしてくださいまし」たえいるような、あえかな声でした。
「あえか」は「かよわい」という意味です。
この正確な意味は、わたしも辞書で調べてはじめて分かりました。

読むたびに、受け取り方が変わる。
絵本は何にも変わっていないのに、自分の方が変わっている。

こどもに説明しなくても、
こどもは読むたびに発見があり、
そこからいろんなことを自分へ取り込んでいく。

子ども時代に、本とそういう関わり方をしていたら
きっと、物語を楽しむ土壌が心に作られます。

「3個もできてんな!」
こどもらしい、屈託のない感想。
まず、感じることがたいせつ。

物語の筋を理解していなくても、美しい語感や絵が、
知らず知らずにからだに入り、
小さい人の心はつくられていくのだろう。

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